雑文

思いついたことを

ジョニーさん

今年の9月、ジョニーさんが亡くなった。ジョニーさんは沖縄出身の元ホームレス。新宿でしばらくホームレス生活をして、その後、生活保護を取ることができた。ジョニーさんというのはニックネームで純日本人だ。

元々、軽度の知的障害があったのか、彼と会話には苦労することが多かった。それでも寂しがり屋で人懐こい性格のジョニーさんは多くの人に愛された。追悼会には多くの人が集まった。

事情を知る人によると、ジョニーさんが変わったのは2015年頃。その頃から家賃を払わず、統合失調症の薬と睡眠薬を飲まなくなった。

だから暴力的な性格に変わり、何を言っているのか意味がわからず、会話が成立しなくなった。家賃を払いなさい、と保証人が諭すと「殺そうか?」とあの温厚なジョニーさんが脅した。

たまに行っていた飲み屋ではすごい形相でわけのわからないことをまくして、下手なことを言ったら殺されるかもと人々から恐れられた。


どうして彼が薬を飲むことを止めてしまったのだろうと皆、訝った。

手がかりとしてはその年にジョニーさんのお父さんが亡くなったこと。また僕が個人的に推察するにはその前年に親しい友人のSちゃんが自殺したこと。

きっとジョニーさんは生きる気力を亡くしたのだ。明日に希望を持つことをができなくなってしまったのだろうと思う。

薬を飲まくなったのはいわゆるセルフネグレクトではないか。

追悼会に集まった人たちは多かれ少なかれ、ジョニーさんの死に責任を感じていた。僕もその中の一人である。

寂しがりやのジョニーさんは誰彼かまわず電話をかけた。でも話すことはないから、皆、対応に困って、誰も電話にでなくなった。さすがに寂しいという大人に何ヶ月も何年もつきあうことはできない。だからジョニーさんは孤独だった。

この場合、誰が悪いのだろう? もしかしたら誰も悪くない? どうしたら彼を救えたのだろう? わからない。わからない。わからない。