雑文

思いついたことを

快楽を長く味わうにはその代償を払わなくてはならない

小説家の西村賢太が亡くなった。2月4日にタクシーの中で意識がなくなり、病院に着いたときには心臓が停止していたという。享年54才。

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僕は私小説は好きではないので彼の小説を読んだことはないが、風俗好きを広言するなどキャラクターが面白いのと僕と同年代ということで親しみを感じていた。

西村といえば糖尿病で肥満体型。タバコは一日100本吸い、年間365日タカラ焼酎を飲んでいたらしい。要するに健康のために何かを控えるようなことは一切せずに、食べたいもの・飲みたいもの・吸いたいものをその時にとっていた。風俗が唯一の趣味だったが、糖尿病だったということで恐らくEDだったろう。

今、世界は健康志向一色。かつてドラッグをやっていたロックスターまでジムに通ってワークアウトをする時代である。西村はそういう傾向が嫌いで、あえて露悪的なまでにその風潮に逆らって生きてみせたのだろう。

僕は子どもの頃は病弱で、小学生のときは特に喘息でとても苦しい想いをした。そのせいもあって、僕は病気が恐い。そのために僕は割と健康志向で食事は主に自炊、味噌や納豆などの発酵食品やナッツ類などを意識的にとっているし、筋トレやウォーキングもやっている。

西村のような人物からしたら「そこまでして長生きしたいもんかね?」と思ったかもしれない。もちろん僕も長生きをしてこの世の行く末を見てみたい、という思いはある。また快楽主義的というほどではないものの、好きなものを楽しみたいという欲求はそれなりにあるので、そのために節制をしている面もある。

からしたら風俗なり、酒や何かしらの料理がそんなに好きだったら、健康状態を良好に保つために努力をするべきだと思う。快楽を長く味わうにはその代償を払わなくてはならない。何事もタダで得られるものはない。それが哲学というか、僕の認識するところの単純な事実である。

しかし多分、西村賢太にはそんなことは出来なかった。そんなかったるいことをやるくらいならあっさり死んだ方がマシだったのだろう。そして彼は54才でぽっくり逝った。一日タバコ100本を40年!も続けていたというから、まぁ、このくらいが寿命だったのだろう。本人に心残りがあったのかどうはわからない。でも、これが彼が選んだ行き方だった。僕は彼と同じ轍は踏まないつもりである。